『明日、もし晴れたら


一緒<に逃げ出しちまおうか?』



















真っ青の空を、その眩しさに顔をしかめ見上げながら。
元親が謂った気まぐれを思い出す。

生憎とその日は雨で、

『残念だったな』
我がそう言って少し笑うと、元親は安心したように笑った。



元親はずるい

元親だけではない
責任能力のない者は簡単に、気まぐれに大層な事を口にしては、盛大に後悔をする
その責任の矛先は同意した第二者
だが、元親は叶わないと確信してるから、だから口にする。

だが、我は知っている。
元親は自分の言ったことがいつも、嘘にならない様に口にする
その賢さ、狡猾さ、ずるさ
全て、我が元親を愛する要素になる。
そうやって安心を与えてくれる
例え、其れが本当はただの嘘でも、我にとってはそれでよかったのだ。
元親のその優しさが 、我に嬉しくて、とても愛しかったのだから。




『俺は、お前となら逃げ出してもいいと思ってた。』

…我も



お前となら何処にいても、誰に後ろ指を指されようと、幸せだと思った。


…我もだ



『俺、元就が傍にいてくれれば何も要らないから』


…我もだ。元親
















我は膝の上で寝転ぶ元親の頬をそっと一撫で。

少し体温の低いその身体。

あぁまだ、周りの喧騒がうるさくて、元親の声が聞こえないではないか。


聞き取れるように状態を屈めて元親の顔に自身の顔を近づけ耳を澄ます。

すると元親は右手をあげて我に頭を引っ張る。 抗議もせずにさせたいようにさせ、唇を重ねられる。

少しして我の頭に乗せていたて手の力が抜け我がピクリと思わず首を動かすとその手はダランとさがった。
元親の口内が冷たくなるまで、我は元親の唇を離さなかった。










最後の接吻は鉄の味がした