さらさらの血が僕を覆います。

べたべたの血が僕を濡らします。




『アァ、コンニチハ…アカチャン』
















考えてみた。
どうしたら子供を授かる事が出来るのか、

変化で女体化したところで、生理が来なければ子供は授かれない。
生理が来るまで女体化…チャクラがもつだろうか?


分からない…



何の為の忍術なんだろうか。


あぁ、分かってる。己の欲望を満たすものでないものくらいは、
だが、そうは思わないか? 何もないところから、蛇の甘言で禁断の果実を口にした人間は知恵を持った。
今や当たり前の、寧ろないものが奇異の眼で見られる時代にまでなったと言うのに。
知恵は使い手と用途を誤れば、犯罪者、人間以下に成り下がる。
何の為の知恵だとか、何の為の忍術だとかは、今更どうでもいい。
過去は変えられないのだから、あるものは仕方がない。

しかし、それにしても何のための生なのなのでしょうか?

人間は知恵を持つから分かる。知る。
生の無意味さを問う。
そして放棄し、自らを捨てていく。













…クローン?



そう、クローンらしいよ。



本当はあの日、彼…



しッ!
…ほら、此方見てる。

…嫌な目ね。


















深くに思考しすぎたせいか、余計な引き出しまで開けてしまった。
あの日に戻りたい。

俺が産まれなければ、貴方に出会わなければ、欲など知らず、穏やかな時の中で生を知らずに、眠っていられたのに…

誰が命じた。
何故、忌まわしき血を必要とする?
何故、手放す?



あぁ、全くをもって人間の思考とは不可解だ。

俺の中から早く消えてくれ。

オレヲハヤクケシテクレ…



怖いものなんて何もないから、


悲しいこともないから…



「俺を生かしてるのだけはやめてくれないか?」



呟かれた声が頭から離れない。
ただ貴方と逢えなくなるだけでしょ?

   あぁ、それだけだ。
もう、貴方の苦しむ顔を見なくて済む…

  あぁ、もうお前も苦しむ事はなくなる。
それだけでしょ?

  そう、たったそれだけだ。








何で男なの?とか

何で雄なの?とか




何で女にしてくれなかったの?とか


何で雌にしてくれなかったの?とか


誰かの声が妙に責め立てる。

そんなの知ったこっちゃないって言うのに、俺には重くのしかかる。
誰に言ってるんだ?

俺に言ってるのか?

俺を憎んでるの?
俺が怖いの?
俺もお前が怖いよ…

だからこそ、一層俺はお前に殺されたいとか、お前を殺してやりたいとか、 思ってしまう。
でも、別にそれが可笑しいとは思わない。
自分の中で在り得ないものや、畏怖に価するものを排除しようとするのは人として極々当然だと思う。

相手がただ、自分にとって大きな役割をしているだけだ。
否、それ故に恐怖している。
其れだって、可笑しい事は何一つとしてない。



だからそんな眼でみないでくれないか?


判ってるから…判っているから…。


もう限界…?


俺もだよ?


あの日、あの時、あの瞬間…


俺がお前にこんなにも心を貪られる時が来ると知っていれば、 選択を誤ることもなかったんだからね…。

でも、お前はその事実さえ知らないだろう?




これは、そう。



あの日、あの時、あの瞬間…



あの場にいたものしか知りえない。









真っ赤な秘密なのだから…。


































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